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Feature23 Dec 2024


「ミスは許されない」 東京2025世界陸上を支える計測技術

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The Seiko Timing Team gathers at the 2023 World Athletics Championships in Budapest, Hungary. (© Seiko Time Creation Inc.)

東京2025世界陸上競技選手権大会では、セイコーグループ株式会社の「セイコータイミングチーム」が計時(タイムの計測)などを担う予定だ。選手たちのタイムなどを正確に記録する同チームの重要な役割について、セイコータイムクリエーション株式会社セイコータイミング部の小林宗正氏に聞いた。

東京の国立競技場では2025年9月13~21日の日程で、第20回世界陸上競技選手権大会(世界陸上)が開催される。大きな盛り上がりが期待されるこの大会を裏で支えるのが、世界のトップアスリートたちの成績を記録する計時・計測機器を運用する「セイコータイミングチーム」だ。

世界陸上をはじめとする国内外のさまざまな大会で選手のタイムを計測・表示している同チームは、開会のかなり前から会場入りし、すべての機器が完璧な精度で機能するよう、入念に準備する。

「どの大会でも常に信頼性の高い正確な計測ができるよう、全面的に支援しています。選手のキャリアにも影響を与えかねないため、ミスは許されません。常に完璧を目指しています」と小林氏は説明する。

「世界陸上では、クリーンな会場設営を目指しています」と小林氏

「世界陸上では、クリーンな会場設営を目指しています」と小林氏

 

テクノロジーの新時代

小林氏によると、過去には長い棒やメジャー、旗上げなど、時間のかかる手動計測が行われていたが、近年の技術進歩により、画像を基にした効率的な判定が可能となり、革新的な計測方法が登場した。例えば、走幅跳で踏切の無効(ファウル)を判定する跳躍踏切判定システム「JMS(Jump Management System)」や、跳躍距離を測定する高解像度カメラなどだ。また、GPSによるロードレース選手追跡などの無線計測も、実現に向けた取組が進められている。

このほか、得点を表示するパネルや開閉会式の演出でのLED採用も進んでいる。

セイコータイミングチームは約60~70人で構成されており、中核となる英マンチェスターのグループ会社社員に加え、日本、米国、ドイツ、オーストラリアのメンバーが所属する。チーム内はスポーツチャンネルとテクニカルチャンネルの2つに分かれており、それぞれのメンバー同士が常にコミュニケーションを取りながら、重要な情報を共有している。

競技開始に向け、表示盤を設置するセイコータイミングチーム

競技開始に向け、表示盤を設置するセイコータイミングチーム。
©セイコータイムクリエーション株式会社

セイコータイミングチームは2023年度だけでも115の大会や子ども向けイベントを支援しており、セイコーの計時技術は国内の水泳大会や、体操、柔道、マラソンなどの各種競技で活用されている。また、同社の計時・計測機器は国立競技場のほか、国内のほぼすべての水泳競技場に常設されている。

東京2025世界陸上を成功に導く

世界陸上では49種目で総重量23トンの機材が使用され、セイコータイミングチームの精鋭メンバー約70人が運用に当たる。完璧な大会を実現するため、すべてのケーブルや機器の事前確認を何度も行い、バックアッププランも複数用意している。

競技が始まると、チームは速やかに記録や得点を計算して運営側に伝達しながら、競技中も機器の調整を続ける。

しかし、いくら万全の準備をしていても、予期せぬ事態が発生して綿密な計画が狂うこともある。

例えば、2022年に米オレゴン州ユージーンで開催された世界陸上では、新型コロナウイルスの流行による世界的なコンテナ不足や運搬トラブルにより機材の到着が遅れた上、会場では電源やネットワークの問題も発生した。翌年にハンガリーのブダペストで開催された世界陸上は大雨に見舞われ、機材の電源を入れるとうまく起動しない可能性もあった。

「どの大会でも、初日の開始時は極度の緊張とプレッシャーを感じます。機器が故障して音が出なかったり、タイムが記録されなかったりすると、セイコーだけでなく選手にもダメージを与えてしまいます。もう一度最初から泳いだり走ったりしてもらうことはできないですから」と小林氏は語る。「なので、大会が終わってチームメンバーが握手をする瞬間は、大きな安堵と達成感があります」

The Seiko Timing Team is meticulously preparing to ensure the success of the World Athletics Championships Tokyo 25.

セイコータイミングチームは東京2025世界陸上の成功に向け、入念な準備を進めている。
©セイコータイムクリエーション株式会社

東京2025世界陸上を完璧なものにするべく、小林氏のチームは開幕の約1年前に電力やインフラ関連企業などの技術サプライヤーと会合し、必要なものを洗い出した。

「こうしたパートナーに頼れるのは、私たちにとって非常に大きなメリットであり、大きな自信になります」と小林氏は説明する。

また、東京での世界陸上開催は34年ぶりとなることから、2025年の大会は、個人的にもとても楽しみなのだという。

「1991年の大会では、カール・ルイスやマイク・パウエルら偉大なアスリートが出場し、世界記録も樹立されました。自分は当時まだ2歳でしたので、来年の東京での世界陸上開催は非常にワクワクします」

 

小林宗正

小林宗正

2012年より計時・計測支援に従事。現在は、セイコータイムクリエーション株式会社セイコータイミング部副主査として、陸上、競泳、体操、スキー(アルペン)と幅広い競技を担当している。

 

取材・文/キンバリー・ヒューズ
写真/穐吉洋子
翻訳/遠藤宗生

記事提供:TOKYO UPDATES ©東京都